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    多崎つくる ネタバレ感想 3

    とは言いながらも、今作が311後の物語として読まれることは隠されている。
    直接言及される事件は新宿駅での想起における「地下鉄サリン事件」である。
    ここでは多崎が最後に得た感懐には触れずに、登場人物の名前を考察する。

    高校時代の完全な共同体の多崎以外。彼らの名前含まれる色はタイトルと、多崎の人間関係の些細な疎外感の契機ともなっている。

    赤松 慶
    青海 悦夫
    白根 柚木
    黒埜 恵里

    日本人の名前に自然物が入らないことは、まずほとんどないことに改めて気づかされる。
    だが、それを踏まえても、青い海に一本の赤松はあの風景を想起させる。柚子は県の特産品のひとつ。黒い森、里の恵み。
    赤青白黒は、四神=青竜・朱雀・白虎・玄武に相応し東西南北の四方=世界を象徴。
    多崎はこの四人に突然拒絶され断絶を受ける。

    (ちなみにシロは死、クロは命の豊穣、灰田はその混合=死のトークンを持つもの(もたらす者?)か?)

    そこから多崎は立ち直るのだ。
    逆に今作は、311後の物語として読まれることを避けるために「色彩を持たない」と偽装されている気すらしてくる。
    だが、311後を含意するメッセージを受け取れる。
    そして、そのメッセージは、しごく納得できる。
    で、それもまた、なにか春樹の文体に騙されている気がしてしまうんだよなあ。
    ここで、腑に落ちていいのだろうか。
    春樹以外の者がこの文言を、言ったとして腑に落ちるのだろうか。
    この物語で語られることが最良なのか。

    だが、それはそれとして、読者のないものねだりに堕しても仕方がない。
    そして、このメッセージを読ませてしまう力はすごいよなあ。
    文体だなあ。


    おわり
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